陣馬高原下から、今年もどうしても見たい日影沢のハナネコノメを目指して歩くハイキングで、タカオスミレの群生を見た!(3月19日)

 山笑(やまにこ)会では毎年3月に、日影沢~城山~城山北東尾根~日影沢と歩くハイキングを実施してきた。人気のあるハイキングだったが、今年は趣向を変えて上椚田橋から小仏川遊歩道を歩き、蛇滝~4号路~3号路と歩くコースに変更した。評判が良かったのは既報の通りだが、今回のハイキングの幹事としては、毎年観察を続けてきた常連さんと恒例のコースを歩くハイキングの実施をあきらめきれず、逆コースで歩くハイキングを企画した。山笑(やまにこ)プラスで実施するため、熟慮の結果、陣馬高原下から堂所山に直接登る山下屋コースを追加することにした、バリエーションコースである。

 

 山笑(やまにこ)プラスの企画は参加者1215名程度で実施することを目標にしているのだが、「どうしても見たい日影沢のハナネコノメ」が惹句できいたのかのか30名以上の応募者が集まり「一見さんお断り」のルール適用で数名断った。残った29名で実施しようと急遽スタッフを2名追加し4名で実施することにした。

 

 

 319日は予想通り好天に恵まれた。西東京バスに依頼して増便を出していただいたので、結局23名となった参加者とスタッフ4名で乗り込み、バスの中では山笑(やまにこ)会の今年の企画の話題で盛り上がったと、幹事が率いたチームの常連さんからうかがった。

稲葉班の集合写真

珍しいタカオスミレの群生


 陣馬高原下バス停のトイレで順番に済ませていただき、925分にスタートした。稲葉チームが先頭、他のグループから応援していただいたチームが続き、常任スタッフが次のチームを担当。今年FITに入会したばかりのスタッフが最後を固めた。応援スタッフと常任スタッフのチームは、山笑(やまにこ)ハイキング既参加のいわば実力がわかった参加者ばかりで、実力が幹事には良く分からない方、自信がないと申告のあった参加者は幹事のチームにまとめた。

 

 山下屋コースは3年ほど前にバス停前の陣馬そば「山下屋」のご主人たちが拓いたコースで地図等には全く記載がなく、道標も全くないコースだったが、最近、登山詳細図(20175月発行版)には「グレードC」で記載され、今では踏み跡も判断できる程度の山道になってきた。そのコースに山笑会としても竹札、赤テープで目印を付けておいた。下から登ると最初の20分がきつい登りで、参加者には下見報告で「最初の20分を楽しんで登っていただければ、大丈夫」と伝えてあった。ニリンソウの一段と増えた山道を登り始める。地元の墓場を過ぎると、慣れない方には足の置き場に困るザレ場のような急な登りが始まる。後ろを確認しながら登った。遅れている方がいたのでペースを落とす。少し休んでアオキについて説明する。後ろに岡本班長が山男然としたスタイルで登ってのが見えたのでまた前進する。約束通り約20分で休憩ポイントに着いた。ここには「山下屋GOSルート」と書いた木札があるのだが、地面にあるので目に付かない。下見で立木に竹札をつけておいた。全員到着したので押し出されるように先に進む。

 

 以降、ほぼ思った通りのペースで歩くことができた。約1時間で稜線に出て、それから約10分で堂所山に着いた。ここまで来れば、リタイヤする方は出ないだろう。途中、先日、ツチグリが大発生した場所を通過。残念ながらこの日は観察できなかったが、どうやら今年は異常発生の年だったようだ。コース上の分岐箇所では木札を見ながら目印の意味を説明した。コウヤボウキ、ナバガノコウヤボウキの説明をしたが、難しかったかも知れない。カシワバハグマも初めて見た方には興味深かったようだ。堂所山の手前で右手前方に富士山が見えた、思わぬ所で見えて、みなさん拾い物をしたような歓声だった。白く輝く富士山というのは不思議な存在だ。

岡本班の集合写真

日影バス停民家のカタクリ


 堂所山の最初の急な下りを慎重に下ると、あとは3カ所の巻き道を歩きクロモジの説明。もう少し行くと、送電鉄塔にでる。後ろの2チームが早いのでゆっくり説明できる時間がない。この鉄塔目指して木下沢から登って来るコースがある。ここから堂所山~関場峠と歩くコースも楽しい。全チームが集まったので、また押し出されて前進だ。ゆるい登り2箇所ほどでカジカエデの巨樹があるポイントに着く。ここでも看板とカジカエデの存在で自分の居場所が明確にわかると説明する。もちろんカジカエデの解説もする。最後の頑張りで影信山に到着。富士見茶屋の南側のベンチで軽食休憩とした。下のトイレに行く方が多く予想外だった。黄色い花が咲き始めたミツマタの写真を撮る方も多かった。

 

 しばらく歩くと高尾の町並み、城山から高尾へと続く山並みがきれいだ。小仏峠に向かう山道では、ヤブコウジ、マンリョウの話題で笑っていただいた。昨日、76歳の方が参加者の中におられて、ヤブコウジの話をしたら、この方、素人落語家でジュゲムの話(ヤブラコウジ)で盛り上がった。いつもは滑る小仏峠に向かう道の下りが今年は滑らないが、しっかりみなさんに注意する。小仏峠には予定の10分遅れで到着し、日影で15:12のバスに乗るのはタイトかなと思った。

 

 小仏峠について、アオキの雌雄とそれぞれの花について説明していると全チーム到着。こういうことも珍しいように思うのだが、チームの順番の妙なのか(いつもは遅いチームが最後なのだ)。最近、思うのだが、なぜ、小仏峠にはケヤキが多いのだろうか。しかも巨木ばかりだ。ここから20分で小仏城山山頂ですよ、と伝えて出発する。明治天皇の記念碑から先は右手の階段を上るのが通常になってしまった。以前は常に左側の竹林を回ったのだが。階段を見て「ええ、ここを登るの!」という声があがったので、すかさず「少しだけですよ」と伝える。展望ベンチに着くと歓声が上がるのもいつものことだが、今回は小社脇のオニシバリの花も出迎えてくれた。これも今年の発見だ。先に進んで階段下にでる。ここからも以前は「ヒノキとスギの団地」を観察しにまっすぐ階段を進んだものだが、最近は左の巻き道を行き、展望のいい日だまりに出るのが通常になった。

廣川班の集合写真

日影のツリーハウス


 さて、小仏城山の山頂着で各チーム、ほぼ時間差なく着いた。廣川チームはもっと早く歩きたくてうずうずしていたそうだ。予定より15分遅れたので、以降、廣川チーム、岡本チーム、稲葉チームの順で歩くことにした。1513分のバスには微妙になったので、急がないこととした。出発前に集合写真を撮ってスタートしたら、廣川チームはすぐに見えなくなった。稲葉チームは、岡本チームを追いかけて歩くが、初参加の方もいて観察に余念がなく、また写真に夢中でなかなか進まない。そのため初めて参加の新人スタッフに最後尾についてもらった。キブシ、ミズキを説明して喜んでいただけるのも楽しい。ヤマネコノメを観察しながら、持参した種の写真を見ていただくと驚きの声が挙がった。肉眼では見えないミクロの世界だ。

 

 右手に萩原作業道と皆伐地点に出た。先発組が右手に集まっている。先のチームのMさんが残ってマムシグサの芽生えだと伝達してくれた。今度は左から先に行ったはずの廣川班長が「タカオスミレがありますよ」と呼んでいる。信じられない気持ちで現場に行くと、みなさん写真を撮っている。きれいなタカオスミレがたくさん咲いている。ニリンソウも咲いている。廣川班長は、萩原作業道の皆伐で陽当たりが良くなったせいではないかという。種はどこから来たのかと気にはなるが・・。やっと写真を撮り終えて出発する。

 

 途中、アオイスミレも群生、ニリンソウが咲いていたし、ヤマネコノメの茶色いタネも見られた。ユリワサビ、セントウソウの白い小花も咲いていた。今度はSさんが残っていて、「タゴカエル」が鳴いているという。郵便道の入り口に着いた。コクサギの冬芽のさながら寄木細工は、模様がゆるんで、若葉を展開している枝もあった。モミジイチゴ、コクサギ、ヤマブキなどの若葉を見ると春を感じる。少し進むとアズマイチゲが10株ほど咲いている場所がある。日が射しているので花がきれいに開いている。さらに歩いて、コチャルメルソウのポイントに着いた。岡本班長のチームが先にいたが一緒に見させていただいた。今が最盛期だろうと思う。みなさんに花の花弁に当たる部分はどこでしょうと質問する。コチャルメルソウは面白いがきれいな花ではないので観察も早い。写真も早い。ここから先の観察は比較的早かった。廣川チームはすでに見えなくなった。

 

 キャンプ場に着き、トイレに行きたい方はトイレに行っていただいた。ここで、予定の希望を聞いた。15:13の高尾行きバスにギリギリ間に合うが、ゆっくり見ると間に合わない、どうしましょうかと聞くと一人を除いて折角だからゆっくり見たいという、それじゃということで、1名の方はカツラ広場からバス停に向かっていただくことにした。頭上のフサザクラを見て、ヤマコウバシの説明して、サイカチの所では昨年勉強したサイカチと、ムクロジの洗浄能力の話を聞いていただく。城山北東尾根が合流する渡渉点では対岸にわたり、コチャルメルソウとアズマイチゲを見る。ここは立ったままでコチャルメルソウをじっくり見ることができる。オニシバリのポイントを説明する。

 

終わってカツラ広場に向かう。広場でまずは前方の上に見えるツリーハウスの説明。ほとんど方が見たことがないそうだ。右手のキクザキイチゲを見てからハナネコノメを鑑賞しに行くと、岡本チームとすれ違った。このチームは1513分のバスに間に合った。午後の時間帯なので、いつものポイントには誰もいなかった。わずかに赤い葯をつけたハナネコノメが残っていて、滑り込みセーフだったか。準備しておいた写真でハナネコノメの一生を見ていただいた。

 

カツラ広場に戻り日影入り口の民家に向かい、カタクリ、ミヤマカタバミ、ショウジョウバカマを見ていると路線バスが行った。ここでも真上のツリーハウスとツリーダムハウスの説明。噂によると41日からツリーダムハウスカフェができるそうだ。バスに向かい、左の空き地にあがるとオヤマボクチのドライフラワーがあったので、ソバのつなぎの話をする。バス停には1520分着と遅れた場合の予定通りだった。他の2班は1513分のバスに間に合った。天気に恵まれ、山下屋コースも全員無事に通過し、予定しなかった高尾スミレも見ることができて大満足の一日だった。岡本班長、小野スタッフに感謝したい。

幹事:稲葉 力(報告)

 

スタッフ:岡本俊彦、廣川妙子、小野梨香