謎の白い巨塔、謎の廃墟、謎のそば屋に入り、ドラム缶橋を楽しんだハイキング

  8月10日(金)10時15分、奥多摩駅で小菅温泉行きバスに乗った。 われわれは13名、バスは満車になったのだが、ほとんどの客は奥多 摩湖で下車した。雨の日が多く、奥多摩湖は満水だ。左手に麦山の 浮き橋を見て、さらに赤い峰谷橋が出てきて次に深山橋、そして左 に曲がると右にそば屋「陣屋」の登場。もう少し乗って、「金風呂 バス停」でバスを下りる。ここは小菅の湯で村営バスに乗った頃、 路線バスとの乗り継ぎでバス待ちをしたところで懐かしい。当時よ りもさらに何もない。

今は使われていないロープウェーの駅の廃墟

 謎の物体を自分の眼で確認すると下山にかかる。山頂から陣屋 までは完全な山道であり、急坂あり、やせ尾根ありと登りと下りで は全く様相が異なる。転倒しないように注意を払いながら下ってい ただくのだが、参加者の技術・体力のばらつきが大きく、ここでも 次第にペースが落ちてきた頃に下に着いた。予定より15分程遅れで あった。まあ、一本遅いバスにしようと。じゃ、スタッフが調べて きた廃墟も見ようとなった。 わたしは昔の陣屋に入ったことがない、というより入る機会がなか った。陣屋の前に立ったときは定休日だった。いまは代が替わった ようだ。みなさんと中に入って注文するとさすがに夏でほぼ全員が セイロを注文された。この後、小河内神社に行くには登りもあるの でビールは控えておいた。味について詳しく書くのは控えておこう。 そば屋も謎のそば屋なのだ。

横地監物の時代とは違いますが、これが小河内神社。横地監物の名残はないですね。

 対岸に渡り、多分昔は食堂でもやっていたと思われる民家の前の フジ棚の下にベンチがあるので、民家の主の許可をいただいてザッ クを置いて休憩した。それから片道10分の小河内神社へ行く。意外 なことに全員行くという。この神社、実は北条氏照の居城だった八 王子城が落ちたときの城代横地監物が逃げ延びて、檜原城に逃げ、 そこで檜原城の城主は自刃、横地監物はさらに逃げて当時の小河内 神社に到達した。彼はそこで自刃したのだが、当時の住人が彼を哀 れに思って「横地社」を作ってねんごろに弔ったのだ。ふれあいハ イキング「北高尾ハイキング」で八王子城址に関係して4年になる のだが、小河内神社に足を運んだのは初めてだ。そんなことを話し ていると、目の前にカモシカが現れた。民家の主に聞くと定住して いるそうで一家4匹だそうだ。

 

 わたしは先に下りて、ザックから缶ビールを出した。このときのた めに保冷剤と一緒に缶ビールを6本持参したのだ。紙コップと缶ビ ールを出して下りてきたみなさんに振舞った。しばらく歩かないと 売店も食堂もないのだ。参加した女性が枝豆を出して下さった。目 の前の小山の上にある鶴の湯温泉馬頭館で温泉に入る予定だったが、 女主人が7月に病気になって1年近く休業していた、残念だった。こ こにも入ったことがないのだ。16時過ぎのバスに乗って奥多摩駅へ。 有志で馬頭館の代わりにもえぎの湯に入った。もえぎの湯も久し振 りだった。今年3回目の「お好み」ハイキングが無事に終了した。 幹事は稲葉、スタッフは廣川でした。(報告:稲葉)

これが謎の白い巨塔、実は仏舎利塔

 きれいなトイレで用を済ませ、その昔、謎の巨塔を作った工事用 の道路であったらしい道を登り始める。ここの標高は約550m、山頂 は約950mだ。雲の多い天気だが連日の暑さなので20分おきに給水タ イムを設けて歩いた。それでも「お好みハイキング」と称する軽い ハイキングなので、2回目の休憩頃から少しペースが落ちる。途中 から捨てられたミキサー車が出てくる。赤茶けたタンクも出てくる。 謎の塔を目指すにはこの荒れた感じがいい。完成した1974年当時、 こうしたことが可能だったのか。  前方に建物が見えてきた、無人なのだが、おそらく社務所的イメ ージの建物なのだろう。ここからもう一息だ。前方が開けてきてや っと白い巨塔が姿を現わした。看板を読むと真面目な仏舎利塔のよ うだ。この白い巨塔は雲取山の山頂から、七ツ石山の山頂までずっ と石尾根上で見える、まことに気になる物体なのだ。だから、仏舎 利塔に上がると石尾根が非常に良く見える。この物体は秘境好きを 刺激するらしく、調べると色んな方が探検記を書いている。わたしは 6、7年前に大寺山からノメコイ湯まで縦走して初めて謎の物体を近 くでみた。そのときにまた来るとは思わなかった。

これがドラム缶ならぬ浮き橋だ!

 そば屋を出て、5分程歩くと駐車場があって(考えて見るとこの 駐車場も不思議なのだが)その上にロープウェーの鉄塔のようなも のが目に入る。建設工事の鉄塔かと思っていたのだが、スタッフが 調べたところでは昔使ったロープウェーの施設(ダムができる前に 対岸に渡るのに便利だったようだ)で、その駅等が廃墟となって残 っている。スタッフに案内してもらって少し登って中に入ってみた。 そこは全くのミステリーゾーンだった。今にもギシギシと動き出し そうだった。外に出ると、急に雨が降り出した。全員雨具を出した。 30分もしないで雨はすぐに止んだ。  左手に奥多摩湖を見ながら歩き、ふるさと村の手前で湖岸に下り る。しばらく戻っていよいよ浮き橋だ。昔はドラム缶橋だったが、 今は浮き橋だ。一人二人じゃ揺れないのだが大勢で渡ると意外に大 きく揺れるらしい。実際に揺れが大きくなって落ちかかった人がい たようだ。対岸まで5分とかからない、すぐに渡るのが実にもった いない。平日なのに客が次から次にやってくる。どうも、今年の遭 難騒ぎもそうだが、アジア系の方々に日原の鍾乳洞と浮き橋が人気 らしい。駅前で何人かから鍾乳洞行きのバスについて聞かれた。

小河内神社にはカモシカが常住しているという。人を恐れる気配もなかった。